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76います。技術を教えるより先に、自分たちの最小限の力で最大限の効果をひきだすにはどうしたらいいか考えましょう、と提案していただきたい。その1つがリフトを活用したケア提供であり、そのことがご利用者にとっても良い結果につながる。現場にメリットが分かりやすく伝われば、習慣?は変わります」(保田氏)。これまでに5回開催された「福祉用具専門相談員実力ランキングテスト」。その上位ランカーが集い、ディスカッションを行った。幅広い知識が必要とされる試験で全国上位に入ったコツについては、全員特別なことはしていないとの答え。しかし、うれしかった事例、失敗した事例、地域性について感じたことなどを語っていくにつれ、実務での経験に向き合い、着実に自分のスキルにつなげていく熱意が感じられた。挑戦者へのエールは、「一人で考え込まず情報収集できるパイプを持つ。積極的に横のつながりをつくること」。田氏。「日本での定着は?」という質問に、なかなか苦戦しているとしながらも、福祉用具専門相談員と協力して広めていきたいと語った。「ただノーリフトの説明ではなく、なぜそれが必要なのか、今行っているのはどういうことなのか、をわかっていただければ変わっていくのではないかと思オーストラリアで3名の看護師が始め、現在では介護・看護現場のスタンダードになっている「ノーリフティングポリシー」。その意味するところは、言葉どおり持ち上げない?だけではなく、介護・看護の在り記念講演:腰痛予防対策を通して考えるケアの質保田淳子氏(日本ノーリフト協会理事長)について説明できれば自分で選ぶことができます。ところが電動ベッドではどうでしょう。使ったことがないし、自分の身体状況や家族の介護レベルに応じて選ばなければならない。選べないのが普通です。」この何も知らない?人に説明し、納得して選んでもらうのが福祉用具専門相談員の仕事なのである。●ポイントは研修の継続性と専門職間のバリアフリー化?研修を企画するときは継続性?、受講するときは、そこで得た知識や技術を持ち帰ってどう活かしていくのか、を重視しているというのは事業者でもある佐藤氏。福祉用具の研修会には、意識の高い他職種の方々が参加していることも多く、専門職同士の情報交換の場にもなるという。佐藤氏の事業所では、それをきっかけとして病院や施設向けに福祉用具のレンタルシステム導入にむすびついた事例が30件以上あるという。「全国ではまだまだ需要があると思います。それらに臨機応変に対応するためにも福祉用具専門相談員のレベルアップは必要。今回の研修ポイント制度を構築し福祉用具専門相談員のレベルをどう上げていくか、ということがふくせん?の大きな、そして緊急の課題となっていると語るのは、研修ポイント制度構築を委員長としてリードする白澤氏だ。「様々な専門職が生涯教育として専門性を高めていく、というのは専門職としてあたりまえのこと。福祉用具専門相談員を育てていく上で、できれば独自の仕組みをつくり上げ展開していきたい」(同氏)。●求められる幅広い知識と経験、研修市川氏は、福祉用具の選び方・使い方を教える立場から、福祉用具専門相談員に要求される知識は膨大なものだという。製品知識があればいいというものではなく、からだの動きに関する知識や、家族のニーズを聞き取るという能力なども、ある程度のレベルになければならない。それはなぜか。「テレビが壊れたら、電気店に行って買うことを不安に思う人はいないでしょう。自分のニーズがはっきりしていて使い方もわかっているからです。店員が製品「福祉用具の日」記念イベントV国際福祉機器展H.C.R.2012◇ワークショップていく上で、事業者としての要望も出していきながら、現場で役立つスキルが身につく研修制度にしていきたいと考えています」(佐藤氏)。●質の担保?は相談員の専門性にかかっている「サービス計画作成の義務化で質を担保するための環境はできました。次は、それを実行する福祉用具専門相談員の専門性が問われる番です」とは、本会設立時より、研修ポイント制度を考えてきたという山下氏。現在でもいろいろな研修が行われてはいるが、山下氏は、各専門職の間でも福祉用具専門相談員の専門性については理解されていないと感じているという。「それが全てではありませんが、力量の可視化も課題のひとつと考えています。ご利用者が福祉用具専門相談員を選ぶことができる仕組みが必要だという思いもありますので、今回の事業には非常に期待しています。またそれは、福祉用具専門相談員のモチベーションアップにも役立ってくれるものと思います」(同氏)。●確固たる専門性なくして連携?は望めない「理学療法士協会でもたくさんの研修を計画していますが、365日リハ体制が増えたことによる交代勤務のために、研修に出たくても出られない人が多いというのが現状です。福祉用具専門相談員も同様では」というのは吉井氏。積極的な参加?を推奨されても、個人に気持ちがあるだけでは難しい。事業者にとって従業員を出席させるに値する内容であること、出席することによって本人だけでなく事業者にもメリットが感じられる仕組みをつくりたいという。また、専門職間の垣根をとりはらう、情報共有し、連携するといったことについて、それぞれの専門性が9/26東京福祉用具専門相談員の研修ポイント制度の構築職業能力の開発・向上、個人が適切に評価される仕組みづくりを目指して記念講演「腰痛予防対策を通して考えるケアの質」パネルディスカッション「ランキングテスト上位ランカーに聞く!」10月1日の「福祉用具の日」を記念し、福祉住環境コーディネーター協会との共催でイベントを開催した。会場は東京ファッションタウンビル(東京都江東区)。方に深く関わっている。現地で自ら体験してきた保W9/28東京「福祉用具の日」◇トークイベント市川洌氏(いちかわきよし)福祉技術研究所株式会社代表取締役毎年恒例の国際福祉機器展H.C.R.が9月26日、27日、28日に開催された。会場は東京ビッグサイト(東京都江東区)。本会では、初日の26日に福祉用具専門相談員の研修ポイント制度の構築職業能力の開発・向上、個人が適切に評価される仕組みづくりを目指して?と題してワークショップを行った。制度設計に携わる識者を招き、開発の方向性とともに、職業能力の在り方についてお話をうかがった。佐藤大介氏(さとうだいすけ)サトウ株式会社代表取締役社長しっかりしていることが必要条件だというのが吉井氏の意見だ。それがないと、連携してもただのあやふやな集団でしかなく、それでもっとも迷惑をこうむるのはご利用者なのである。「個々の専門性を高めるには、研修制度が必要。そしてそれは使える?研修制度でなければ」(同氏)。●各自の努力を明確な形にして公開する意義今回の制度のキモとして研修によるポイントの公開?をあげるのは渡邉氏。ほとんどの資格では、資格取得時に試験等によって知識や実力についてある程度担保されても、その後のバージョンアップについては明らかではない。「この福祉用具専門相談員はこれだけ勉強した人なんだということを一般の方がみてもわかりやすく、気軽に検索できる形にします。研修を受けて知識を得るだけでなく、それを実務に活かせるようにすること。それが福祉用具専門相談員のキャリアパスです」(同氏)。必要なのは、選ばれる事業者、福祉用具専門相談員になること。それは今後、どんどん厳しくなっていく。さらに、研修制度が構築されることで、良い研修が増え、そうでないものは淘汰される。結果として、研修の質があがる。良い研修を受け、実力をつける、その努力が報われる仕組みとなれば。吉井智晴氏(よしいちはる)公益社団法人日本理学療法士協会理事渡邉愼一氏(わたなべしんいち)一般社団法人神奈川県作業療法士会会長H.C.R2012保田淳子氏(やすだじゅんこ)日本ノーリフト協会理事長ランキングテスト上位ランカーによるパネルディスカッション岩橋信之(いわはしのぶゆき)氏パナソニックエイジフリー介護チェーン武蔵野佐藤隆之(さとうたかゆき)氏株式会社トーカイ市川営業所谷口弘樹(たにぐちひろき)氏株式会社カクイックスウィング鹿児島営業所廣瀬智也(ひろせともや)氏株式会社ヤマシタコーポレーション岐阜南営業所104